Jさんは、ツーリング中に渋滞気味になっているバスの左端を抜けようとしたところでバスに幅寄せされた結果、路肩の段差でバランスを崩して転倒し、3ヶ月以上の入院を必要とする骨盤骨骨折等の重傷を負いました。ところが、バス会社は真っ向から責任を否定、Jさんが勝手に転んだのだと主張して治療費などの支払をしませんでした。そこで、Jさんはやむなく自分が入っていた人身傷害保険を使って治療をすることにしました。
Jさんは、このような加害者の対応などに怒りと不安を感じ、早い段階で弁護士に相談したいと考えました。Jさんは弁護士費用特約にも加入していたため、担当者に弁護士に相談するつもりでいると告げると、「知っている弁護士か、こちらが指定する弁護士に依頼してほしい」などと言われたものの、交通事故に詳しい弁護士に依頼したいと考え、サリュにご連絡いただき、ご相談いただくことになりました。
担当弁護士は、怪我の度合いからいって12級程度の後遺障害が残ってしまうかもしれないこと、その場合の損害額の見込みなどを丁寧に説明しました。Jさんの件で最もやっかいだったのは、Jさんにも相当程度の過失が見込まれるという点でした。このように被害者側に相当程度の過失がある場合で人身傷害保険が使える場合には、加害者や自賠責保険金からではなく、人身傷害保険金からまず請求していくことが重要です。保険約款によってもまちまちですが、受け取る順序によって被害者のお手元に残る金額が大きく変わってくることもあるためです。
その後、Jさんは当初のサリュの見込み通り後遺障害等級12級を獲得し、示談交渉に入りました。まずは、人身傷害保険会社との交渉ですが、傷害部分については900万円強で示談がまとまりました。しかし、後遺障害部分では人身傷害保険会社の主張とサリュの主張に大きな乖離がありました。人身傷害保険会社は、逸失利益について基礎収入をサリュの計算の60%程度(Jさんは個人事業主でしたが、税法上の特別措置で所得金額が低く押さえられていることを理由として低額な基礎収入であると主張されました)、労働能力喪失率を5%、喪失期間を5年などと主張し、後遺障害部分の損害額についても900万円強での提示をしてきたのです。サリュの主張とは倍以上の差があり、交渉してみても人身保険会社は「増額する気はない」の一点張りでしたので、サリュは交渉を打ち切り、過失がないと主張していた加害者とともに人身傷害保険会社を訴えました。裁判でも、基礎収入や過失割合など、専門的な知識が必要な論点が形成され、三者三様の主張立証が展開されましたが、サリュの丁寧な主張立証が奏功し、加害者にも一定程度の過失があることを前提に、人身保険会社と加害者から併せて2100万円弱がJさんに支払われる内容の和解が成立しました。これにより、Jさんは本件事故により被った損害として傷害部分の示談で取得した900万円強の保険金を加えて合計3000万円以上を獲得することができました。
過失の有無、過失割合、基礎収入、人身傷害保険など争点の多い事件でしたが、最終的にはJさんにも「裁判をする前に先生が予想した通りの結果で、良かったです。」という言葉をいただくことができました。
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