Sさん(30歳)は、バイクで走行中、前方に停車していた車の運転席ドアが突然開いたため衝突し、左環指末節骨開放骨折の怪我を負われ、14級6号の後遺障害(薬指の先の方の骨が欠けてぶらぶらした状態)を残しました。
サリュは、Sさんからのご依頼を受け、保険会社と示談交渉に臨みました。Sさんのような14級の後遺障害の場合、労働能力の喪失期間は3年から5年で制限されることが通常です。しかし、Sさんの薬指の骨が欠けてしまったという状態は一生続きます。そこで、サリュは、労働能力喪失期間を3から5年とすることは、Sさんのお怪我の実態にそぐわないとして、就労可能年齢である67歳までの37年間の労働能力の喪失を主張しました。
これに対して保険会社は、3年くらいで慣れるのであるから、67歳までの労働能力の喪失は到底認められないとの反論をし、どんなに頑張っても総額230万円くらいまでしか出せない、と回答してきました。
ここで示談をして早く終わらせることも可能だったのですが、14級だからといって一律に3年から5年程度の労働能力の喪失しか認められないのはおかしな話です。そこで、サリュは、Sさんとも相談の上、裁判をすることにしました。
裁判では、労働能力喪失期間の他にも、ドアをあけた加害者の一方的過失ではないという点や、Sさんが将来稼ぐ能力があったのかどうかという点も争いになりました。
しかし、Sさんとの打ち合わせ・裁判例調査・文献調査等の緻密な準備の甲斐あって、尋問も成功し、すべての争点でサリュが勝利することができました。
具体的には、基礎収入額はSさんの実収入ベースではなくそれよりも高い賃金センサスベースの金額が採用され、労働能力喪失期間は67歳までと認定され、さらに、過失割合もSさんには一切落ち度なしと判断されました。
訴訟とはなりましたが、訴訟提起前の準備がしっかりできていたこともあり、6か月で全面勝訴判決を勝ち取ることができ、保険会社の提示額の3倍以上となる735万円の賠償額を得ることができました。
Sさんからは、全面勝訴判決の結果に、大変喜んでくださいました。